【書評】『お金は愛』小山昇著・ダイヤモンド社
経営者のお金に考え方と使い方
本書は以前にご紹介した同じく小山昇氏の著書である『数字は人格』の内容に似ているが、その中でもお金に関することに特化してまとめている
お金に対する考え方と使い方を余すことなくまとめられている
お金に関することはあまり具体的な事例を取り上げる本は少ない中、ここまで赤裸々にお金のことだけをまとめているのは貴重であり、読んでおくと将来役に立つことは確実だ
小山氏の会社である株式会社武蔵野では、社員に対してお金を目的にして勉強させるという制度を採用している
お金を目的に(エサに)勉強させるなんて動機が不純だと批判する方も多いと思う
しかし、小山氏はこう語っている
“動機が「不純」でも、結果が「純」ならいい”
“お金が目的でも、その結果としてビジネスパーソンとして成長できるなら、社員にとっていいこと。社長はお金を遠慮なく使って、社員を机に向かわせてください”
お金をどう考え、どう使うか、著者の考え方がよくわかるエピソードである
なぜ、お金に愛されるのか
小山氏は自分自身をじつに幸運だと本書で語っている
つまりお金に愛されているということだが、本書でその秘訣をこう語る
“武蔵野の社員に実際の働き以上の給料を払っているのも、これまで培ってきたノウハウを会員に包み隠さず教えるのも、独り占めするとロクなことがない経験則があったから。運を引き寄せるために、自分なりに考え、「できるだけみんなに分け与える」という習慣を実践してきた”
まさにお金に愛される人の考え方といえよう
もう一つ、面白いエピソードがありご紹介しよう。それは「1円玉でも落ちていたら拾う」という内容である
“1円が落ちていたらどうしますか?私は躊躇なく立ち止まって拾います。その動作で赤字になろうと関係がない。たとえ1円玉であろうと、お金を大事にしない人はお金から愛されません。1円玉は価値が低い、1万円札は価値が高いと身分に差をつけた扱いをしていては、底の浅い人間性をお金に見透かされてしまう。お金と仲良くしたければ、いくらであろうと大切に扱うのは基本です”
また、ツキの法則のエピソードでは、
“社長仲間と繁華街と飲み歩いていたところ、たまたま目の前にいたキャバクラボーイが3000円を拾ったところを目撃しました。
その社長はすぐにボーイに声をかけてその3000円を5000円で買った。
タダで拾った3000円が5000円に化けるのだから、ボーイに断る理由はありません。そして3000円を友達と1000円ずつに分けた。
社長にとっては4000円の損です。しかし、その社長は
「1円を拾うだけでもラッキーなのに、3000円を拾うのは超ラッキー。そのい運を分けてもらるなら安いもの」
1円玉を拾ったらマイナスだとか、3000円を5000円で買うのはバカだと言う人は、目の前のことしか見えていない。目先の損得に惑わされずにお金を大切に扱う人が、長くお金に愛されます“
僕たちはお金に愛される扱い方をしているのだろうか
気になった方は一度本書を読んでみることをお勧めする