【書評】『とにかく仕組み化』安藤広大(著)・ダイヤモンド社
【歯車として機能する人が人の上に立てる】
本書は組織の中で人の上に立ちたい人が、身につけなければならない考え方である、「仕組み化」を身につけるための本となっている。
現在はどの業種で働いている方も業務量が非常に多くなっており、業務の効率化や生産性向上のために「仕組み化」の重要性が今までになく高まっていると感じている。
特に新型コロナウイルスにより、人との接触が以前より少なくなっている現在では、特に「仕組み化」を推進することは非常にマッチしていると考えている。
【仕組み化とは属人化をこわすことである】
「仕組み化」を推進する上で一番重要視しているのが属人化のリスクを知り、それをこわすことであると著者は語っている。
属人化とは、特定の人に依存している状態であり、一例をあげると、ある業務が1人部署でおこなわれていて、その人が休んだりすると、誰も業務がわからなくて、休みが明けるのを待つなどの状態をいう。
その他、いわゆる会社内のカリスマ的存在なども同じだが、こういった属人化が多くある組織は一時的にうまくいっていても、やがて停滞してしまうと著者は指摘している。
理想の組織とは、
「優秀な人が不在でも、チームとして機能することで勝てる組織」
であり、その中心的な役割を果たすのが「仕組み化」である。
【「とにかく仕組み化」のための5つの考え方】
「仕組み化」について本書では5つのステップで説明しているので取り上げておこう。
ステップ1「責任と権限」を手に入れる→決めたことを守り切るようにすること
ステップ2「危機感」を利用する→正しい恐怖を感じ続けるようにすること
ステップ3「比較と平等」に気をつける→正しく人と比べる環境を整えること
ステップ4「企業理念」を再認識する→自分がどこに向かっているかを迷わないこと
ステップ5「進行感」を感じる→他者と共に大きなことを成し遂げること
となっている。
詳しい内容については本書で確認していただきたいが、ステップ1の決めたことを守り切るということが最も重要である。
著者はこの「仕組み化」を成立させる大前提として、「期限を守ること」が絶対に必要であると語っている。
つまり、ルールを決め、線引きができる状態ができて初めて、「仕組み化」を守ることが可能になるのである。
あらゆる仕事を評価するにも重要な要素だと思うので覚えておきたい。
【本書を含め合計3冊セットで体系化されている】
本書はビジネス書では有名な本であると思うのでご存じの方も多いと思うが、実はこのシリーズは他に2冊あり、この本は最後の3冊目の本となっている。
1冊目は社会人になったプレイヤーとしての考え方をまとめた『数値化の鬼』、
2冊目はマネージャー1年目のための考え方をまとめた『リーダーの仮面』、
そして、そのさらに上を目指す人のための『とにかく仕組み化』、
の3冊構成となっており、この3冊は連動している。
本来は1冊目からのご紹介をすればよいのだが、1冊目は過去に読んで処分してしまっており、2冊目は読んだことがないことから、近々に残りの2冊も読ませていただきご紹介しようと思うので楽しみにしていただければ幸いだ。