【書評】『キーエンス思考×ChatGPT時代の付加価値仕事術』田尻望(著)・日経BP
【最新のChatGPT活用術】
本書は元キーエンスに在籍し現在は株式会社カクシンのCEOをやっている著者が、キーエンスで培った付加価値の創造とChatGPTを掛け合わせた仕事術の書籍となっている。
本書の構成は初めに「キーエンス思考」についての解説があり、「なぜChatGPTを活用するのか」そして、「ChatGPTを活用して何ができるのか?」
という3部構成になっている。
本ブログではこの3つの点についてみていこうと思う。
【キーエンスの付加価値創造の考え方】
キーエンスの付加価値創造の考え方としての3要素と成果をあげる8つの原理原則が本書にはまとめられている。
「付加価値創造の考え方としての3要素」
①プロフェッショナルの心得
・時間とお金の約束を尊重する
・目的意識・目標意識・問題意識を持つ
②知識と洞察力
・情報収集能力
・情報分析能力
・目標設定能力
③行動と実現力
・目標達成能力(問題解決力×行動力)
こちらは全ビジネスパーソン必須の3要素として必ず覚えておくことを著者は推奨している。
「成果をあげる8つの原理原則」
①売り上げと経費削減につながる企画が出せているか
②最小の時間と費用で進めることを常に意識しているか
③判断は市場原理と経済原理に基づいているか
④当事者意識を持って気づきを発信できているか
⑤自分の意見・考えを持って、報連相できているか
⑥因果関係“なぜ”をはっきりさせているか
⑦大事な事柄を周囲に十分浸透させているか
⑧満足な結果が出せているか
この8つの条件に合致しているかを定期的に振り返ること、そして成功したら「再現性」があるかを検討することを著者は語っている。
【なぜChatGPTを活用するのか】
ここからは本題のChatGPTの内容について入っていこう。
本書で一番ためになったのはこの部分であり、一番のポイントは「プロンプトエンジニアリング」である。
「プロンプト」とはChatGPTに回答を促す質問の名前であり、理想の回答を導き出すために質問の内容を工夫することを「プロンプトエンジニアリング」と言う。
「プロンプトで的を射た質問ができていない、情報の抜けや漏れがある場合には、ChatGPTの回答も実用なものではなくなります。理想とする回答をChatGPTからどれだけ引き出せるか。その近道の一つが、プロンプトの例を数多く知っておくことです。」
このプロンプトの具体例を体系化してまとめてくれているのが本書の一番のポイントであり、本書のメリットとなっている。
【ChatGPTを活用して何ができるのか?】
最後にChatGPTを活用して何ができるのかという内容に入っていこう。
最初に指摘しておきたいのが、逆説的にはなるのだがChatGPTでできないことを知ることが重要だ。
ChatGPTでできないことは、すなわち人間だからこそ発揮できる貴重な能力ということになる。
著者は以下の3つを指摘している。
①意思決定力
②創造性
③人間関係力
詳しい内容については本書をご確認いただくとして、ポイントはそれ以外のところはChatGPTで時短することが可能であるという事実である。
「目的設定や達成のために必要な時間は、ChatGPTを活用することではるかに減ります。つまり、お客さまの目的を理解して仕事ができる人と、そうでない人の差が、これまでとは比べものにならないほど広がっていくのです。」
ChatGPTを活用する人と活用しない人では今後圧倒的な差ができてしまう。
そのために今から有効に活用しようというのが著者の願いである。
僕も少しはChatGPTを使ってはいるがここまでの活用はできていなかった。
今後はどっぷりChatGPTを活用しようと決意させてくれた一冊であった。