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【書評】『ファスト教養』レジ―著・集英社新書

 
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10分で答えが欲しい人たち

今回は新書をご紹介しよう。『ファスト教養』である

まず、ファスト教養の定義だが、

「楽しいから」「気分転換ができるから」ではなく「ビジネスに役立てられるから(つまり、お金儲けに役立つから)」という動機でいろいろな文化に触れる。その際自分自身がそれを好きかどうかは大事ではないし、だからこそ何かに深く没入するよりは大雑把に「全体」を知ればよい。そうやって手広い知識を持ってビジネスシーンをうまく渡り歩く人こそ、「現代における教養あるビジネスパーソン」である。着実に勢力を広げつつあるそんな考え方を、筆者は「ファスト教養」という言葉で定義する

としている

本書はこのファスト教養の成り立ちから、歴史の編篇、問題点、そして今後ファスト教養をどのように扱っていくのかをまとめたものが本書である

年齢的にもこのファスト教養が自分のど真ん中に位置していることを読むにつれて理解できた

自分の世代の考え方やあり方が本になっていると不思議な気持ちになる

教養とは何か?を考える

現代は「教養」と呼ばれる領域の知識を大雑把に手早く仕入れて、「話を合わせるためのツール」としてビジネスシーンで活用する。そんな行動をとる背景には「成功への欲望」と「使えないとう烙印を押されることへの恐怖」がある

と著者は述べている

息苦しい社会の構図の中で皆が光を求めて、もがいている様にも見える

本来の教養とは何か。ファスト教養はまさに、現代の教養といっているものは教養と言えるのかを考えさせる一冊である

VUCA時代を生き残るために

ファスト教養全盛期の現在において僕たちはどうすればいいのか。

その一つの答えとして本書はこう述べている

「既存の枠組みから自由になること」と「既存の枠組みの中で戦える知識の習得から逃げないこと」の両輪を回すことが、ファスト教養に抗いながら、ビジネス的な要請に応えていく「ポストファスト教養の哲学」なのではないか

つまり、折衷説をとっている。バランスをとろうということだ

一つの提言としては曖昧であり、消化不良な気もするが、VUCA時代と言われる現代である

教養も手探りで常に変化していかなければならならず、決まった答えはもう存在しないのだという時代の必然とも言えるだろう

僕自身としてはとても面白かった

一番ビジネスパーソンとして脂が乗っている40歳前後の方々には興味を持っていただけると思う

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