【書評】『奇跡の本屋をつくりたい』久住邦晴著・ミシマ社
日本一愛された本屋の物語
最近読んだ中島岳志さんの本に感銘を受け、この本が紹介されており取り寄せて読んだのが本書である
恥ずかしながら、くすみ書房の存在も、北海道の書店であったことすら知らなかったが、読んでいるうちに涙があふれた
この本は、くすみ書房店主久住邦晴さんの地域の書店の生き残りを描いた物語であり、久住さんにふりかかるあらゆる困難を受け止め、歩き続けた物語である
一冊の本の力
地域の一書店を残すためにあらゆる取り組みをやり続けた物語であるが、
その原動力はなんだったのだろうか?
僕は「本にはすべての答えがある」だと思った
そして、それは未来を背負う子供たちへの思いでもある
久住さんは、あらゆる子供たちに必要な本との出会いを提供したいという思いで書店を続けていたのだろうと思う
本の中でも述べられているが、最愛の息子さんをガンで亡くしており、その影響も色濃く出てるのだろう
近年の大型書店の広がりと共に、個人書店の経営は困難を極める
しかし、様々な方々からの奇跡ともいえる協力を得て、ぎりぎりまでくすみ書店は生き抜いた
その久住さんとくすみ書店の生きる力に感動した
最後は書店の閉店とともに、久住氏も家族と同じガンでこの世を去る
最後の最後まで生きることを諦めなかった「奇跡の本屋」の物語を読んで欲しいし、認知されるべき本である
“「本にはすべての答えがある」とわたしたちは信じている。だから、あれ読め、これ読めとうるさく言うのだ。つらい時、迷った時、そしてうれしい時、高校生諸君にはいつもそばに本のある人生を歩んでもらいたい”