【書評】『座右の書『貞観政要』』出口治明著・KADOKAWA
【お勧め読者】
帝王学を学んでみたい方
中国古典を学んでみたい方
世界最高のリーダー論を学びたい方
【本書の読みどころ】
『貞観政要(じょうがんせいよう)』とは、中国史上、もっとも国内が治まった「貞観」の時代に、ときの皇帝・太宗と臣下たちが行った政治の要諦がまとめられた書物
日本においては、北条政子、徳川家康、明治天皇も愛読していたとされる帝王学の古典中の古典である
それを現代にもわかるように解説し、重要な要点を取り上げた一冊である
【さらに理解を深めるために】
『名将に学ぶ人間学』童門 冬二(著)三笠書房
古典を読むには歴史から学ぶという順番がある
本書は『貞観政要』を出口さんが現代に合わせて重要なところを解説した一冊となっている
本の内容としては、この書物が記された時代背景と歴史の解説からはじまる
というのは古典というのは昔の書物であることから、現代と時代背景が異なっている
当然ながら現代の考えとその書物が記された考えは同じではない
よってその書物が記された歴史や思想などを理解し、時代背景をわかった上で読むことが求められる
それが古典を読む上でのハードルの一つとなっているが、著者の出口さんが本書でその時代の歴史や思想をしっかり解説されているので安心だ
いいリーダーに共通する10の思慮と、9の徳行「十思九徳」
本書の内容としては、太宗の側近である魏徴(ぎちょう)が歴代の天子や帝位の継承者を観察した結果として、君主が心に留めておくべき10の思慮(十思)と、積むべき9の徳行(九徳)を太宗に説いており、この「十思九徳」から現代でも通用する重要ポイントを出口さんが厳選してまとめられている
解説の内容の濃さと現代にわかりやすくアレンジされた解釈は一読に値する内容である
この内容を一冊の本として体系的にまとめられること自体が素直にすごいと思った
古典の原文を読みたくなる本
僕が読んだ感想としては、「十思九徳」の内容だけでも十分に本書を買う価値がある内容であると思う
そして古典を学ぶことの重要性を改めて教えていただいた
本書の原文は『新釈漢文大系95・96貞観政要(上・下)』(明治書院)からのものとなっている
出口さんはこの原著を常に目に見える場所に置いておき、自分への戒めとしているとのこと
是非、本書で「貞観政要」の基礎的な部分を知っていただき、興味があれば原文も読むといいと思う
僕も原文を手に入れて早速読んでみようと思った非常に価値のある一冊だった