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【書評】『性格は捨てられる』心屋仁之助(著)・中経出版

 
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【変えられるのが性格・変わらないのが個性】

本書は性格が形成される仕組みをセラピストの立場から解説したものである。

そして、自分に合わない性格ならば変えることが可能であるというのが著者の考え方だ。

著者は「人間の中には性格と個性の二つがあり、変えられるのが性格であり、変わらないのが個性である」と語っている。

料理で例えれば、個性は「食材」であり、性格は「味付け」であるとわかりやすい例えで表現されている。

本書では性格の形成されるメカニズムについてと性格を変える方法の大きく2つで構成されている。

今回はこの2つを簡単にまとめておこう。

性格形成のメカニズム

①ある「出来事」に出会う

②「価値観」に照らし合わせる

③「感情」が生まれる

④「行動」を起こす

⑤「結果」が生まれ、②が強化される

この①から⑤を繰り返すことで性格が形成されていくことになる。

そして、私たちの「性格」は、それがどのようなものであっても、その裏側には「肯定的な意図」が必ずあると著者言う。

つまり、どんな性格であれ、「その性格を出すことで、なにかしらのメリットがある」ということである。

例をあげれば、自分の引っ込み思案な性格が嫌だと思っていても、そのおかげで恥ずかしい目にあわずにすんでいたりするということである。

「性格」とは、よくとる行動パターンのことですから、「その時点で、あなたにとって最高の選択」をし続けてきた結果、生まれたものともいえるというのが著者の考え方となる。

性格を変える方法

性格を変えることについては、セラピストの立場からセラピーとしてまとめてあるので見ていこう。

セラピー1 心の壁をとり除く

セラピー2 自分の感情に向き合う

セラピー3 心の「核」を探す

セラピー4 自分の「できること」「もっているもの」を知る

セラピー5 心のブレーキをはずす

セラピー6 形からはいる

セラピー7 自分の未来を想像する

以上となる。

詳しい内容は本書に譲るが、性格というものはその時の自分の立場や環境などで一番必要な性格は一つではないという認識が重要である。

つまり、昔に役立った性格が今となってはマイナスに働いている場合もあるし、以前負担になっていた性格が今とても役立つこともあるということだ。

著者は性格を変えるということについてこのように語っている。

「性格を変えるということは、いまの性格の存在を認めたうえで、新しい物事への反応パターンを新たに手に入れる、もしくは思い出す、ということなのです。そう「変身」ではなく「追加」なのです。黒い性格を取り出して、白く塗り替えるのではなく、黒い性格をそのままにしておいて、新たに白い性格を手に入れる、ということなのです。「両方、ある」のです。」

性格に対する認識とそのメカニズムを学ぶことができるので、興味のある方は一読をおすすめする。

【さらに理解を深めるために】

『感情的にならない気持ちの整理術』和田秀樹(著)ディスカヴァー・トゥエンティワン

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