【書評】『日本の色を染める』吉岡幸雄著・岩波新書
【お勧め読者】
染物の歴史を知りたい方
染物の視点から日本の文化を知りたい方
【本書の読みどころ】
日本の伝統色は487色あるそうである
その色を植物染めという伝統の染物を現代に復活させようとしている人たちがいる
日本における染物の歴史を中心に日本の文化を知れる一冊
日本の染物の文化を知る
本書は京都にある「染司よしおか」五代当主であり、染師・染織である吉岡幸雄さんの著書であり、染物の歴史と文化をまとめたものになっている
私自身も染物には興味もなく全くの無知であったが、あるときNHKの再放送で「失われた色を求めて~植物染め・伝統の100色を今の世に~」という番組を観る機会があり、染物の文化と技術にいたく感動したことがあり、書店で本を見ていたら本書があったので思わず手にとった次第である
本書の構成は飛鳥・天平の時代から江戸時代までの染物の特色と歴史がまとめられている
私自身、染物の知識も経験もないことから、わからない用語が多数あった。素人には読み切るのも大変なレベルになっている
逆に言えば本書で染物の日本の歴史を一からきちんと学ぶことができると言えるだろう
日本の伝統色を現代に蘇らせる
日本には伝統色として487色もの呼び名がある様である。それは日本人としての色に対する意識の高さの現れであり、古来からのDNAなのだと日本人として嬉しくなった
本書を読むと、伝統の植物染めによる染物は平安時代前後に隆盛を極めたようである
一方で近代~現代は化学染料が主流になっており、植物染めの技術も、材料も風前の灯になっているとのこと
この植物染めという日本の伝統を蘇らせ、現代に再現しようとしている試みは素晴らしいし感動した
私自身は北海道出身であり、染物自体に触れる機会もなかったのが残念だが、今後京都などに旅行にいった際には染物というカテゴリーも意識してみようと思う
そして、「染司よしおか」さんにも見学できるなら一度見学してみたいと本書を読んで強く感じた一冊だった