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【書評】『日本思想史マトリックス』茂木誠(著)・PHP研究所

 
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【我々の「日本人意識」はどのように形成されてきたのか?】

本書は前回ご紹介した『政治思想マトリクス』の日本版である。

日本思想を勉強することは日本人を知ることそのものなのだということを本書は教えてくれる。

著者が本書の中で日本思想の肝は「日本人の寛容さ」であるという。

その部分を今回は取り上げてみようと思う。

【神道と仏教が融合する「神仏習合」】

それでは日本人の寛容さを示す「神仏習合」をみていこう。

平安時代以降、仏教の広がりは日本古来の神道の姿も変えていきました。両者が日本らしい方法で融合された結果、新たな神道が生まれていったのです。

神道と仏教の融合は、最澄が開いた比叡山延暦寺でも起こりました。

比叡山には、延暦寺を開く前から「日枝(ひえ)の神」、あるいは「日枝山王(ひえさんのう)」という山の神がいました。「日枝の神」がおわす神だから、「比叡山」なのです。

つまり、最澄は、山そのものが御神体だった聖地に延暦寺を建立したのです。個の時、最澄は山の神を否定も排除もせず、仏教と共存させるという離れ業をやってのけました。

このあたりから外来の仏教が日本古来の神道を飲み込んでいきます。

天台宗比叡山で生まれたこの新しい神道を、「山王神道」といいます。

ここから、「本地垂迹(ほんじすいじゃく)」という考え方が生まれます。

「本地」とは本当の姿、つまり仏のことです。「垂迹」とは仮の姿。

「本来は仏だけれど、仮の神の姿として現れている」。日本に数多いる神々は仏の化身であり、根っこは同じである。

だから、寺院と同じ敷地内に神社があってもいいし、神社の前でお坊さんがお経を唱えてもいい。ただし、あくまで仏が本家であって、神は仮の姿である。

これが、神道と仏教が融合する「神仏習合」の始まりです。

今も全国の神社で見られる「〇〇権現」や「〇〇明神」という神号も、実は神仏習合によって生まれた神の呼び名です。

日本の神々が平安時代以降、「〇〇権現」「〇〇明神」と名前を変えていくのは、仏教と合体した証なのです。」

日本人は元々ある神道という思想と仏教という思想をみごとに両立させていたのだ。

日本人の感覚だと普通のことのように思われるかもしれないが、世界はそうではないことは歴史が証明している。

「仏教が日本に広まった過程と、キリスト教がヨーロッパに広まった過程を比べてみると、現地の伝統的な宗教との関係には大きな違いがあります。

ローマ時代のヨーロッパには、ローマの多神教の神殿が各地にありました。そこにキリスト教が入ってくると、ローマの神々をすべて否定して神殿を破壊し、その同じ場所に自分たちの教会を建てていきました。

つまり、価値観の異なる宗教の存在を一切認めず、他を排除していったのがキリスト教のやり方です。一神教にはこのパターンが多く見られます。

これみ対して日本は対立する価値観を否定せずに、異なる宗教同士が共存共栄を図っていったのが、日本の神仏習合なのです。

いかに相手を否定せず、お互いの価値観を認め合い、共存していくのか。

古代日本は大陸から渡ってきた移民の国だからこそ、昔から日本人は他者への寛容さを育み、社会の多様性を守ってきました。

寛容さこそがまさに、日本思想の肝ではないかと私は思います。

グローバル化が進み世界といつでもつながることのできる今の時代にこの「寛容さ」は大きな武器になると思う。

【日本思想と歴史を再学習できる良書】

本書は日本思想を体系化してまとめたものとなっている。

本日ご紹介した「神仏習合」のほかにも、近代日本の中心である朱子学や、思想からみた55年体制など日本の始まりから現代までしっかり学ぶことができる。

そして初学者にもわかりやすく用語の説明などもあり、かみ砕いて説明してくれている。

日本思想の歴史を学ぶ入門書として、そして日本人意識とは何かを知る一冊として一読

をお勧めする。

【さらに理解を深めるために】

『政治思想マトリックス』茂木誠(著)・PHP研究所

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