【書評】『最高齢プロフェッショナルの教え』徳間書店取材班(著)・徳間書店
【私はまだまだ若造です】
超高齢化社会に突入している日本で、高齢者プロフェッショナル方々に焦点を当てた一冊。
本のコンセプトとしてとても面白く、しかも大変勉強になった。
本書では漫画家やパイロット、ピアニストやDJに至るまで様々な職業のプロフェッショナルの方々15名を紹介している。
全体を読んだ感想としては、高齢でも輝いている方々には3つの共通点があると思った。
それは、
「好奇心」
「向上心」
「正直さ」
であると思った。
本書でそれを感じたプロフェッショナルの言葉を取り上げてみよう。
88歳・パイロット 高橋淳
『せっかく生まれてきたんだから、僕は死ぬまで進歩したい。だから毎日、毎回反省しています。フライトから帰ってくると、「今のフライトはこうしたほうがよかった」と細かいところまで反省します。今日もよく飛んだ、楽しかったというだけで家に帰ったらダメです。』
長くプロを続けるためには好奇心を持ち続けることが大切なのだと感じた言葉だった。
78歳・ギター職人 矢入一男
『正直、東京に行くと、みんな言うことが難しいしさぁ、面白くねえや。社会に貢献してどうやらこうやら。人の役になんて、立たんでもいいやん。それよりも、人に絶対迷惑をかけんこと、面白いことをするほうが先です。そんな簡単に、人の役になんか立てるもんか。』
自分の心に正直であること、素直であることがゆるぎない自分への自信を育むのだということを教えてくれた言葉。簡単に人の役には立てないという言葉には重みがある。
96歳・喫茶店店主 関口一郎
『いつも好奇心を持って「なぜ」と掘り下げて追及する癖をつけることです。掘り下げたことが仕事に結び付かなかったとしても、いいんです。あとで必ず自分の戦力になるから。』
損得を超えた好奇心がプロと思った言葉だった。
それぞれのプロフェッショナルの言葉
その他にもとても心に響く言葉が多かったので、最後に順不同で心に響いた言葉をまとめておこう。
興味を持っていただけたなら一度読んでみて欲しい。
自分はまだまだ若造であることが良くわかり、そして大きな勇気を貰える一冊である。
「落ち込んだら外へ出て、陽を浴びるといい。植物だって、それで元気になるんですから」落語家・桂米丸
「人間、死ぬまで挑戦です。失敗したら、なんて考えるだけ無駄」スキーヤー・高橋巌夫
「人間は、誠意です。真面目にやっている人間はちゃんと助けてもらえる。そう思って、ずっと人付き合いというものを大切にしてきたんですわ」花火職人・小口昭三
「きっとよくなる、そう思って、目の前のことに取り組んでいれば、必ずいい方向に向かいます」バーテンダー・山﨑達郎
「103年、生きて思うのは「人生は公平だ」ということ。苦労したら、同じだけ恵みがあるんです」声楽家・嘉納愛子
【さらに理解を深めるために】