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【書評】『未完の天才』志村真幸(著)・講談社現代新書

 
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【未完の天才と呼ばれた男の人生】

南方熊楠(みなかたくまぐす)という人物をご存じだろうか?

著者は熊楠の天才ぶりをこうまとめている。

驚くほど多方面で才能を発揮し、生物研究ではキノコ、変形菌(粘菌)、シダ植物、淡水藻、貝類、昆虫、水棲爬虫類と幅広く扱い、熊楠の名が付いた新種も少なくない。昭和天皇に「ご進講」といって生物学の講義をしたこともあった。人類学、民俗学、比較文化、江戸文芸、説話学、語源学といった人文科学系の分野でも業績が多い。

国際的な活躍もめざましく、世界最高峰の科学誌である「ネイチャー」には五十一篇、同じくイギリスの「ノーツ・アンド・クエリーズ」には三二四篇もの英文論考が掲載された。キノコを巧みにスケッチしたかと思えば、十数ヵ国語を解し、また環境保護にとりくんだことで「エコロジーの先駆者」とも呼ばれる。とてつもない記憶力を誇り、十数年前にとったノートの内容をそらで思いだすことができた。ロンドン抜書や田辺抜書といったノートに数万ページにおよび筆写をおこない、「人類史上、もっとも字を書いた」といわれることもある。

内容を読んだだけでも圧倒されるような人物である。

しかし、「熊楠って、結局、何をなしとげたんですか?」という質問にはこたえがどうしてもつまってしまう人物でもある。

その理由としては、熊楠の仕事はほとんどが未完に終わっているというのがその大きな原因なのだが、本ブログでは、熊楠の天才的な記憶力を支えた勉強法と語学に対する学習への執念を中心にまとめてみよう。

そして、熊楠はなぜ未完の天才と呼ばれるのか、むしろなぜ完成させなかったのかというところを考えてみようと思う。

【人類史上もっとも文字を書いた男】

熊楠の学問の方法は非常に単純である。

すなわち「書いて記憶すること」

熊楠はひたすら書くことで知識を蓄え、記憶していったのだ。

実際に熊楠が書いたノートがあり、多くが研修対象となっているがいまだに全体を把握できていないのが現状らしい。

子供の頃は勉強する時に書いて覚えたことがみんなあると思うが、この単純なそして非常率とも思える方法が勉強には必要なのではないかと思わせてくれる。

また、熊楠がロンドンにいた時期に多言葉を学び始めたのだが、その徹底ぶりは舌を巻く。

一八九四年八月二日の日記にはこのような記載が残っている。

「今日より大いに勉学、努めて一分も時間をむだに過ごさず」と決意を記し、十二日に「朝ー午後、仏、羅、隔日。/夜、英書。/日曜日、日本書をを見てもよい」とあり、午前と午後はフランス語とラテン語を日替わりで、夜は毎日英語を勉強している。

九月十二日には、ふたたび「いかなることがあっても、日曜のほか、日本、中国の書を見ず」と書く。

そして、熊楠の語学の勉強も同じく書いて覚えることであった。

熊楠の複数の語学をマスターする執念を感じる日記である。

著者はひたすら書き写すのが語学学習のひとつの方法としてあるのは間違いないと語っている。

だまされたつもりで、熊楠の勉強を試してみるのもいいかもしれない。

【なぜ未完の天才といわれるのか?】

本書を読めばわかるが熊楠は様々な分野で才能を発揮した。

凡人ではとうてい不可能な範囲ともいえる。

しかし、熊楠は「未完の天才」と呼ばれている。

その一つの理由として、熊楠はコンプリートを目指さないタイプの学者だったことがあげられる。

普通の学者は自分の名前を残すため、ある一つの研究テーマを深堀し誰にも到達できないような研究をする。

つまり第一人者という立場を確立しようとする。

しかし、熊楠はそのような形跡がないのである。自分の好きな研究対象を好きなだけ研究するという自由さがそこにはある。

もう一つあげられるとすれば、熊楠は一生費やしても終わらない研究対象を敢えて選んでいることがあげられる。

研究の終わりのみえた途端に、その研究をやめて違う研究をはじめるということが多いのだ。

おそらくではあるが、熊楠は死ぬまで研究をしたいという思いがあったのではないかと思う。

終わりがないからこそ、その研究を続けたいという一見すると矛盾した考えをもった人物だったのかなと私は思った。

いずれにせよ、熊楠の功績は現代でも通用し、今でもたくさんの方々が研究を進めている大人物である。

興味をもたれた方は是非読んでみて欲しい。

【さらに理解を深めるために】

『白洲次郎 一流の条件』牧山 圭男(著)宝島社

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