【書評】『男の作法』池波正太郎著・サンマーク文庫
本書は池波正太郎氏の「男の作法」とは何かということを、食べる・住む・装う・つき合う・生きるという5つの身近なことから考察しているものである
池波正太郎氏は1923年生まれで一昔前のいわゆる江戸っ子的な考えであり、現代とは相違がある所も多いが、不変な所もあると教えてくれる
題名は「男の作法」となっているが、むしろ「日本人としての作法」というべきもので、日本人とは何かという広い概念としてとらえるとより理解が深まると思う
日本人は感覚の国民
池波氏は日本人は「感覚の国民」であると主張されており、「理屈の国民」ではないと説いている
空気を読む、察して動くなどは正に理屈では不可能なもので、感覚でしかわからないものである
そして、昔の人は良くも悪くも1本の筋が通っておりブレがなく、シンプルである
感覚的なところを理解するには本書の様な本を読むといいだろう
以下、本書で僕が学んだところをいくつかご紹介し書評の締めとさせていただく
“やはり、顔というものは変わりますよ。だいたい若いうちからいい顔というものはない。男の顔をいい顔に変えていくということが、男をみがくことなんだよ。いまのような時代では、よほど積極的な姿勢で自分をみがかないと、みんな同じ顔になっちゃうね”
“一つのことをやりながら、つねに他のことにも気を配る、そういう訓練がいまの人にはなくなっちゃった”
“てめえだけの考えで生きていたんじゃ駄目だということです。大勢の人間で世の中は成り立っていて、自分も世の中から恩恵を享(う)けているんだから”
“おこうこぐらいで酒飲んでね、焼き上がりをゆっくりと待つとうなぎがうまい。”