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【書評】『立花隆の書棚』立花隆(著)・中央公論新社

 
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【知の巨人 立花隆の頭の中を覗く】

本書は著名人の書棚をくまなく撮影してそれを本にする、「〇〇の書棚」という中公公論新社のシリーズの一冊として企画されたものであり、それを書籍に改編したものになる。

ネコビルと名付けられた立花隆の自宅兼仕事場には著者が集めた15万冊前後の本が貯蔵されている。

その本棚を著者が振り返りながら、当時の思い出や各分野への著者の考え、おすすめの著書などを紹介するという流れになっている。

知の巨人と称される人物だけあり、科学・IT・政治・宗教・歴史・医学・美術と紹介している分野は多岐に渡る。

その一つ一つが本を書けるレベルのものであるというのが恐ろしい。

今回は、その中でも私がためになった、勉強させてもらったところを抽出してご紹介しよう。

辞書は本に限る

「ぼくは現時点ではネットの辞典は使っていません。どうして使わないかと言えば、知りたい情報が入っていないからです。ネットで検索できる辞典というのは、だいたい『広辞苑』(岩波書店)くらいまでだと思いますのが、『広辞苑』程度の情報では仕事には使えません。」

「日本語辞典で面白いのは、やはり『新明解国語辞典』(三省堂)だと思います。文章で身を立てているのであれば、あれを読んで、「ああなるほど面白い」と思えないと駄目でしょう。」

これだけでも立花隆の凄さが伝わると思う。

歴史・文化を知るということ

ヨーロッパ文化を本当に深いレベルで知ろうと思ったら、「黄金伝説」は欠かせない必須アイテムです。日本文化の最古層を知ろうと思ったら『古事記』の日本神話を読むことが必須なのと同じことだと理解してください。」

西洋社会を本気で理解しようと思うなら、聖書は新約、旧約ともに必読です。読まなければ、西洋のことはまったくわからないと言ってもいいとさえ思います。

この様に文化を知るためには、深いところまで資料を読む必要がある。

中国を知るには中国の漢文が読めないとわからないと著者は語っている。

政治家の質を見分ける本

ウェーバーの『職業としての政治』をまだ読んでいない方は、ぜひ手にとってみてください。この本をちゃんと読んだことのある人と読んでいない人の差は、ものすごく大きい。特に政治家で、これをちゃんと読んだ人というのは、やはり言葉の使い方がまるきり違います。インテリがどうかの分かれ目にんあると言えるでしょう

私は読んだことがなかったので読んでおくことにしよう(笑)。

以上、これ以外にもさまざまな分野で著者の生きた思考とおすすめ著書を多く掲載してくれている。

書棚の写真も秀逸でこれをみるとモチベーションがあがる一冊だ。

故・立花隆の追悼として発売された本書をぜひ手にとってみて欲しい。

【さらに理解を深めるために】

『本棚にもルールがある』成毛 眞(著)ダイヤモンド社

『読解力の教科書』佐藤 優(著)インプレス

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