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【書評】『超インテリアの思考』山本想太郎(著)・晶文社

 
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【建築からインテリア、そして超インテリアへの提言】

本書は超インテリアの思考を提言するものとなっている。

まずは、超インテリアとは何かということになるのだが著者の言葉をみてみることにしよう。

「日本社会にはこれから明らかに、インテリアの時代がおとずれようとしている。それは、都市や建築が担ってきた、私たちの生活の枠組みを形成し、人は場所に社会的なアイデンティティを与えるという役割を、主にインテリアが担うこととなる時代である」

「そして、その時代をゆたかなものとするために私たちは、これまでその言葉の意味も、ぼんやりとしたまま見たりつくったりしてきた『インテリア』を、自身の生活に新しい価値をもたらすための進化したツールとして再構築していかなくてはならないだろう。そこで、本書は、概念を拡張したこれからのインテリアとして『超インテリア』という言葉を提唱する。超インテリアはこれまでの通年におけるインテリアのようにひとつの室内に閉じたものではないし、私たちの生活をとりまくあらゆるモノやコトをその要素としてとりこむことを拒みもしない。それは自身を一番近くで取り囲んでいるインテリアを起点として連続的に広がっていく、プライベート性を帯びた世界像でもある。」

この超インテリアについて、コト、モノ、そして思考について事例を用いながら説明しているのが本書となっている。

【建築・インテリアの素人には難しい内容】

本書の「超インテリアの思考」についての結論となる部分を取り上げてみよう。

「SDGsに挙げられているようなさまざまな社会問題やこの近代社会の閉塞状況をのりこえるためには、問題を単純化させず、多様で、システム化しきれない個々の事物の個性と真摯に向き合っていくということが間違いなく必要であり、いま私たちはその手段と完成を獲得していかなければならないのである。

それは社会や都市のシステムを組み直すことによって新たな包括的世界システムを構築するというような大掛かりなイメージではなく、それぞれの人の身の回りにあるモノやコトとの関わりを起点として、自由で多様な環境が生まれ、並存することを許容するという、まさに超インテリア的なイメージによって導かれると考える。

すでに現れつつあるその変革の予兆を多くの人々が感覚し、その感覚を通して自身の環境をデザインするための総合性を獲得していくことこそが、気たるべき超インテリアの時代を意義あるものとするだろう。」

本書を最後まで読んでみて、この結論は私には深い理解はできなかった。

建築やインテリアの分野は、広い概念でとらえると社会システムそのものになり、歴史や時代背景や関わる対象が個人のみならず国単位に広げることが可能な分野である。

そこが建築関係の著書が難しく、なかなか理解できない理由だと私は思っている。

私のような素人の知識でも、「トイレのふたはなぜあるのか?」「タテ(立面図)とヨコ(平面図)どちらから空間をイメージするか」など、面白く話題にできる内容も豊富にあるので興味のある方は一度読んでみて欲しい。

そして、この本の概要をわかりやすくご教授いただけると幸いだ笑。

【さらに理解を深めるために】

『連戦連敗』安藤忠雄著・東京大学出版会

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