【書評】『食欲人』デイヴィッド・ローベンハイマー&スティーブン・J・シンプソン(著)・サンマーク出版
【本書の読みどころ】
なぜ人間は食欲をとめられないのか
その食欲はどこからきて、どの状態で満足するのか、
その謎を解くのが本書のテーマとなっている
この本の物語はバッタの研究から始まる
バッタの食事の研究によると、食べているものの差はあれど栄養バランスは変わらないという
つまり、必要な栄養素を取捨選択して食べているということになる
生命を維持するには栄養が必要だ
その本能と調節機能がどの生物にも備わっているということを知り、とても興味深く面白かった
最終的には人間の食欲についての話になるのだが著者は、
「食欲とはタンパク質に対する強烈な欲である」
と結論付けている
そして、現在蔓延しているスナックなどの加工食品に対して警鐘を鳴らしている
人間の食欲はタンパク質欲であるというのが著者の主張であるが、それではタンパク質だけを摂取すればいいのかというともちろんそういうわけではない
年齢などでも必要なたんぱく質比率は違うことが研究でわかっている
つまり、ただタンパク質を多く摂取していればよいという単純なものではないということだ
しかし、バッタが必要な栄養素を本能というべき能力で正確なバランスがとれるように、人間にもその機能は備わっている
お腹がすいたときにバランスの良い食事を満足するまで食べていれば、バランスはとれるということになる
そのためには先ほど述べた加工食品ではない、栄養素が正確な状態の食品を食べることが条件になる
というのが本書のまとめということになるだろう
そのほかにも、カロリー制限で寿命は延びるが繁栄数は減るなどの面白い内容が多く、そして一つ一つがエビデンスの積み重ねによって構成されている
文章も専門用語が少なく誰でも読みやすい工夫もされているので気軽に手に取って読むことができるだろう
是非、一読をお勧めする
【さらに理解を深めるために】
『運動脳』アンデシュ・ハンセン(著)サンマーク出版
『脂質中毒』岡部正(著)アスコム