【書評】『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』エリック・シュミット/ジョナサン・ローゼンバーグ/アラン・イーグル(著)ラリー・ペイジ(序文)土方奈美(訳)・日経ビジネス人文庫
【世界を変えた企業Googleの歴史とマネジメント】
本書は今や世界を動かしている企業といっても過言ではない、Googleの歴史とマネジメントをまとめたものとなっている。
内容としては、伝記のような形で進んでおりGoogleの始まりから世界的な企業に成長していく歴史が語られながら、何か重要だったのかGoogleの考え方は何かということが語られている。
ただし、内容がきちんとまとまっている形ではない(3名の著者で構成されていることが理由だろう。複数の著者がいるとこういうことがどうしても起こる)。
そして、成功してから結果的にそれが良かったというような後付けのような記載も多いことから、何が本質的なのかがわかりにくい文章になっている。
そこで、本ブログでは僕が読んでここがGoogleの成功要因、または重要な箇所であるということをピックアップしたので参考にしていただきたい。
箇条書きになっていまうところもご容赦いただけると幸いだ。
【僕が学んだGoogleの成功要因とは?】
僕が学んだGoogleの成功要因は6つある。順番にみていこう。
1.圧倒的なスピードを重視している
本書ではスピードに関してこう語られている
「プロダクト開発はより柔軟で、スピードが求められるプロセスになった。劇的に優れたプロダクトを生み出すのに必要なのは巨大な組織ではなく、数えきれないほどの試行錯誤を繰り返すことだ。つまり成功やプロダクトの優位性を支えるのは、スピードなのだ」
2.計画はあってもなくてもかまわない
先ほどのスピードにも関係するがプロダクトや市場についての新事実に対処するためには、計画を柔軟に変える必要があるというのがGoogleの考え方だ。よって計画はあってもなくても構わない。どうせ変わることを前提としているからだ
3.社員の質を保つこと
本書で一番驚いたところは社員の採用への厳しい基準である
本書ではこのような記述がある
「採用には絶対に侵してはならない黄金律がある。『採用の質を犠牲にしてまで埋めるべきポストはない』だ。速さか質か、という二者択一を迫られる場面は必ず出てくるが、必ず質を選ばなければならない」
また、本書にはGoogleの「採用のおきて」というものが掲載されているので確認してみて欲しい。僕が受けたらまず受かることはないだろう笑。それほど基準が厳しいのだ
4.統計学とデータ重視
これは有名は話だがGoogleは統計学を重視している
そして統計学は21世紀を生き抜く武器であるとの記載があり、こう語られている
「統計学ほどセクシーなものはない。積極的に使いこなそう。インターネットの正規で最高に魅力的な仕事には、必ず統計学が必要になる。それは限られたオタクの世界に限らない」
5.20%ルール
このルールは、Googleのエンジニアが仕事時間の20%を好きなプロジェクトに使うのを認める制度である
この制度で多くのすばらしいプロダクトが生まれたことにつながったとしており、本業と違うことを積極的に実施することを会社として認めているのが大きな特徴だろう
6.収益の8割を稼ぐ事業に8割の時間をかけよ
本業に集中することをいましめる言葉である
Googleの成功要因は「特化」にある。つまり資源のほとんどを一つのプロダクトに集中した戦略があったからこそ、圧倒的な質のプロダクトを圧倒的なスピードで提供することにつながった
我々も本業になるものに対して一番時間をかけよう
【最後に】
いかがだったろうか?
最後に成功している大企業の共通点について本書でまとめられているのでみてみよう。
①問題をまったく新しい方法で解決する
②その解決方法を生かして急速に成長・拡大する
③成功の最大の要因はプロダクトである
そして、本書の最後にはこのように締められている。
「いずれGoogleを蹴落とすような会社が生まれるかもしれない。バカげていると思うだろうか。しかし永久に勝ちつづける企業はないことを思えば、これは必ず起こる。ぞっとする話だと思う人もいるかもしれない。私たちはワクワクしている」
しばらくGoogleの天下は続くに違いない。
【さらに理解を深めるために】
『キーエンス解剖』西岡杏(著)・日経BP