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【書評】『自省録』神谷美恵子訳・岩波文庫

 
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【本書の読みどころ】

古代ローマ帝国の歴史の中で唯一、哲学者が皇帝になった人物、それがマルクス・アウレーリウスである

ストア哲学の影響を強く受け、その実践者でもあったマルクスの手記をまとめたものが『自省録』であり、皇帝としての統治の苦悩もせきららに描かれている

個人的には、人間関係に関する深い洞察は、現代でも十分通用し、多くを学ぶことができると思う

ローマ帝国を哲学で治めた皇帝の手記

本書はローマ帝国皇帝であるマルクス・アウレーリウスの手記をまとめたものである

マルクスが皇帝であった時期は今から1900年以上前になるにも関わらず、現代でも十分学ぶことができる内容であることは、素直にすごいと思う

マルクスはストア哲学を忠実に実行した人物として知られている

よって思想の時代背景が異なることも考慮したい上で、私が心に残ったマルクスの言葉をいくつかまとめておこうと思う

本書の解説文には、マルクスは当時の市民から絶大な支持を受けていたことがうかがえる

「彼は在位中、仁政によって万人の敬愛を一身に集めていたので、死後一世紀の間多くの家では彼を家の守護神(ラレース)の一人として祀っていたという」

今でも「古代精神のもっとも高い倫理的産物」と評される『自省録』を是非手に取ってみて欲しい

【私が心に残ったマルクスの言葉】

「あたかも一万年も生きるかのように行動するな。不可避のものが君の上にかかっている。生きているうちに、許されている間に、善き人たれ」

「かつて私はどこにおきざりにされようとも幸運な人間であった。「幸運な」とは自分自身にいい分け前を与えてやった人間のこと、いい分け前とはよい魂の傾向、よい衝動、よい行為のことである」

「人間ぎらいの人たちが人間にたいしていだくような感情を君自身その人たちにたいして絶対にいだかぬよう注意せよ」

「完全な人格の特徴は、毎日をあたかもそれが自分の最後の日であるかのごとく過ごし、動揺もなく麻痺もなく偽善もないことにある」

「私はなにか社会に有益なことをおこなったか。それならば自分が利益をえたのである。この真理をつねに手近なところにおき、決して(善への努力を)やめるな」

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