【書評】『「きのとや」の挑戦』長沼昭夫著・亜璃西社
【本書の読みどころ】
北海道はスイーツ王国として全国的にも認知されてきていると思っている
そんなスイーツ王国北海道の札幌に「きのとや」というケーキ屋さんがある
札幌市民でケーキを買うなら「きのとや」でという方が一番多いのではないか
それほど市民に浸透しており、札幌市民に愛されているケーキ屋さんだ
私も家族の誕生日には必ず「きのとや」のケーキを買うが、私が思う「きのとや」の良さはケーキの美しさと美味しさだ
ケーキは特別な時に買うものである
その「特別」という欲求を満たしてくれるデザインと美味しさが「きのとや」というブランドを支えていると思う
その社長である長沼さんの経営哲学や、どうやって「きのとや」が作られ成長していったかの歴史を一冊の本にまとめられているのが本書だ
長沼さんの経営哲学は、
「ケーキづくりは、しあわせづくり」
読んでいるうちに「きのとや」のケーキが食べたくなる、そんな心温まる本であった
「きのとや」の経営哲学
本書は「きのとや」の歴史と経営哲学についてまとめられたものである
その中で私が印象に残ったところをメモ替わりにまとめさせていただくことにする
・経営基本方針
「お客様第一主義」と「環境整備の徹底」
特に環境整備については本当に徹底している
これは昔、食中毒事件を起こしてしまった教訓から派生していると考えられるが、「ごみ一つなく徹底的にお店を磨き上げることができれば、どこにも負けない圧倒的な一番店になれる」という信念がある
その具体化としては、清掃作業を外部の業者に委託していないことが大きい
清掃は全て社員が実施し、長らく事務所の男子トイレ掃除は社長がやることになっていたそうだ
掃除には5つの効用があるとのこと
1.謙虚な人になれる
2.気づく人になれる
3.感動の心を育む
4.感謝の心が芽生える
5.心を磨く
特に飲食店では基本中の基本だと思うが、その基本を徹底し続けたからこそ、今の「きのとや」があるのだと本書を読んで理解できた
札幌市民として心に残しておきたいお店であり、本だと思う