【書評】『ファスト&スロー 上』ダニエル・カーネマン著・ハヤカワ・ノンフィクション文庫
【本書の読みどころ】
現在の心理学や行動経済学の分野で主流となっているバイアスについての教科書であり、おそらく原著になると思われる
上下巻があるが、上はまず、タイトルにもなっている「ファスト&スロー」についての説明についてだ
著者は思考には大きく2種類存在しているという
すなわち、
・直観的で回転が早い思考(本書ではシステム1)
・ゆっくりと考え、理論的で遅い思考(本書ではシステム2)
の2種類だ
人間はこの2種類の思考を時にシステム1に従ったり、システム2を活用したり、使い分けたりしている
そして、このシステムの違いが様々なバイアスとなり問題になることがあるということを証明したものである
具体的には、「プライミング現象」、「ハロー効果」、「感情ヒューリスティック」、「アンカリンク効果」など一度は聞いたことがある、様々なバイアスを取り上げ解説している
それぞれのバイアスに対して一冊の本がそれぞれ書ける内容となっており、この内容をまとめあげていること自体がすごい
特に行動経済学の基礎となっている理論をまとめているので全体像を知る上でも重要な一冊になる
【さらに理解を深めるために】
『ファスト&スロー 下』ダニエル・カーネマン著・ハヤカワ・ノンフィクション文庫
取り上げているバイアス多すぎて全体像が理解しにくい
本書はノーベル経済学賞も受賞した著者の行動経済学のバイアスについての本になる
本書ではこれでもかというぐらいのバイアスの内容と解説が加えられており、読むのにかなり苦労する内容だろう
それぞれの章でまとめがなく、図式化しているところもほとんどないことから必要なところは何度か読む必要があるだろう
それを差し引いても、現代の行動経済学の基礎的な本であり、本書を基に様々な理論が生まれていることを考えると頑張って読む価値がある
本書の全体としての結論は下巻にまとめられている
次回は下巻も簡単に解説していこう