【書評】『55歳の男がゼロから海外で農業をはじめ、奇跡のワインを造った話』大沢泰造著・PHP研究所
【本書の読みどころ】
55歳からニュージーランドでワインを造り続けて、数々の賞を受賞した「大沢ワインズ」
その夢を叶えた秘訣と軌跡を著者が振り返り本にしたものである
55歳から新しいことにチャレンジすること自体も凄いことだが、ワイン造りに関しては全くの素人であった著者がどのようにして、数々の賞を受賞するまでのワインを造ることができたのかを詳細にまとめている
強い熱意と絶え間ない努力、そしてチャレンジ精神の大事さを教えてくれる一冊である
【さらに理解を深めるために】
『覚悟の磨き方』超訳 吉田松陰(編訳池田貴将)(著)サンクチュアリ出版
再現性はかなり困難な印象
本書は55歳から単身ニュージーランドに渡り畑の買い付けから始めて、ブドウを育て、賞を受賞するレベルのワインを造った男の物語となっている
本の全体の印象としては、誰でもできるレベルの本ではないなということだ
その理由としては3つある
①著者は元々、土木・不動産関連の会社経営者であり新規事業に対する経験やノウハウ、人脈があった可能性が高いこと
②本書ではお金の話があまり出てこないがある程度の資金がある状態から始めていることが伺えること
③「人が八時間働くなら、自分は十時間働く。そのくらいの覚悟がなければ、人の上に立つことはできないからです。人よりも努力することが、やはり最低条件だと思います」と著者は述べており、長時間働くことはもちろん重要ではあるが、55歳の年齢でそこまでのモチベーションを保つには、意志の強さが不可欠であり、いままでいろいろな修羅場をくぐってきている経験があることが予想されること
つまり、誰でも同じことができる可能性はかなり低いということがおわかりいただけるだろう
しかし、全てを真似しなくても考え方は十分学ぶことができるし、55歳から新しいことにチャレンジする姿は中年組の私からみても非常に勇気をもらえた
こういう本はすべてを鵜呑みにせず、自分に必要な部分だけを吸収し自分の人生に生かしていくスタンスで読むのが一番よいと思う
特に経営者を目指している方には経営の実学として学べる部分は大きいだろう