【書評】『最後はなぜかうまくいくイタリア人』宮嶋勲(著)・日経ビジネス文庫
【本書の読みどころ】
タイトルが面白そうだと理由で読んだ本
イタリアと日本でワインと食について執筆活動をしている著者が、イタリア人の特徴と日本人の感覚と違うところを仕事上での経験などをもとに、面白くまとめられている
読んだ感想としては、イタリア人の感性と感覚はいまの日本人に必要とされているものも多いと感じた
ここでは、私が本書を読んでためになったイタリア人の国民性をご紹介しよう
1.仕事とプライベートは、あえて分けない
イタリア人はいつでも仕事し、いつでもサボる
日本では、公私混同はいけないことで、ちゃんとけじめをつけましょうと教えられるが、多くの外国でもそうであるらしい
しかし、イタリアは違い、仕事は「労働」ではなく「人生」であると考えていることから、公私の明確な区別をつけるのを嫌う
これを著者は「資本主義の常識を軽やかに無視するイタリア人」と表現しているが的を得ている
そして、世界の一流メーカーがイタリアに多く生まれている理由ともなっているのが面白い
2.計画は立てなくても、最後はなんとかする
イタリア人は計画をたてるのを嫌い、“成り行き”を重視しているらしい
これは今現在の純度が高いことを意味している
未来のことは誰にもわからないのだから計画を立ててもしょうがないという気持ちなのだろう
それよりも今現在に集中することの方が大切であるというのがイタリア人の特徴だ
このような国民性をもっていることから、当然ながら計画どおりに事が運ぶことの方が少ない
その危機的状況が日常化しているからこそ、イタリア人は火事場の馬鹿力を出すことに慣れていると言われており、少々のことではひるまない、しぶとさこそがイタリア人最大の武器であるといえる
3.有意義な一日は、脱線により生まれる
「いま」に100%集中できるイタリア人の能力は、裏を返せば新しい関心が出てくると、今度はそちらに100%集中することを意味している
何かをしている最中に新しい興味の対象ができると、本来の目的を忘れて今度はそちらに熱中してしまうのだ
つまり、よく寄り道する国民性と言えるだろう
そして、その寄り道こそが新しい知見や自分では気づかなかった新たな視点、出会いを産むことを理解しているとも言える
イタリア人には、古代から続く「寄り道こそが人生」との哲学がある
4.好き嫌い、美しいか醜いかで物事を判断する
子どものときから「好きか、嫌いか」で人生を生きて来たイタリア人は、直観をかなり磨いている
イタリアでは直観的審美眼を重んずるので、とうても合理的とはいえない選択がなされることも多い
このように日本人からみると考え方の違いに驚くだろう
いまは多様性が求められている時代であることからも、色々な国民性を知っておくことは面白いし、いつか役に立つのではないかと思っている
お時間があれば目を通してみて欲しい