【書評】『「具体⇄抽象」トレーニング』細田功(著)・PHPビジネス新書
言葉ではまとめづらい本
今回は『「具体⇄抽象」トレーニング』を取り上げてみる
具体と抽象は言葉で定義するのが非常に難しく、図で説明するのが一番わかりやすい
そのことから今回は具体と抽象についての中身の話は本書に譲りたい
ここではなぜ、具体と抽象を理解することが重要なのかをまとめておこう
デジタルの時代とコミュニケーション
まず、本書で学ぶ一番の理由は、現代はデジタルの時代であるということである
“デジタル化はビジネスの抽象度を引き上げた”
“ビジネスがデジタル化されるということは、その土俵が「モノの流れ」という具体的な世界から、より抽象化された「情報の流れ」にシフトしていくということ”
と語っている
ビジネスが具体的なモノの流れから抽象的な情報の流れが主流となっている現在では、具体性よりも抽象的な考え、認識、判断の重要性がより増している
そして、もう一つはコミュニケーションである
どんな時代でもコミュニケーションは問題になり、コミュニケーションを原因とする人間関係の悩みがない人はほとんどいない
本書では具体と抽象の違いから生まれるコミュニケーションギャップを指摘し、どのような構造でこのようなことが起こるのかを明快に示してくれている
コミュニケーションが不良になる原因とその解決方法が本書にはある
知っているのと知らないの差は大きい
本書は具体と抽象という概念を通じて、新たな視点を生み出すことができる
また、自分の得意な能力を伸ばしたり、自分の足りない能力を補うヒントになるだろう
本書は様々な具体と抽象に関する演習問題と応用問題を取り上げており、読んでいくことで理解と新たな気づきを効率よく得られる構成になっている
自分の頭の固さをなんとかしたい人や発想力をもっと鍛えたい人には最良の本の一つとなる
具体と抽象の考え方は日常生活から大きな人生のプロジェクトまであらゆるものに応用可能なものであり、この思考法を理解していることそのものが大きなアドバンテージになるだろう
頭の体操だと思って一度読んでみることをお勧めする