【書評】『ポスト資本主義社会』P・F・ドラッカー(著)上田惇生+佐々木実智男+田代正美(訳)・ダイヤモンド社
【本書の読みどころ】
『未来を語る人』大野和基(編)という書籍を以前ご紹介した。
内容としては今後の資本主義社会がどう変わっていくのかというものであり、是非読んで欲しい本である。
その前提として、現在の資本主義とはどういう状態なのかを知る手掛かりになるのが今回ご紹介する『ポスト資本主義社会』となっている。
発売は1993年であり、全体主義や共産主義に代わって資本主義がどう台頭していったのかという歴史と、これからの資本主義の変化を詳細に予想されている。
現在の歴史を知る意味でも、未来の資本主義の形を考える上でも必要な一冊といえるのではないかと思う。
今回は「ポスト資本主義社会」とは何かについて、重要部分を簡単にまとめておこう。
詳しい内容は本書で確かめていただけると幸いだ。
ポスト資本主義社会の3つの重要ポイント
①ポスト資本主義社会における支配的な階級は、資本家やプロレタリアに代わって、「知識労働者」と「サービス労働者」である
②ポスト資本主義社会の経済資源は、知識の仕事への適応たる「生産性」と「イノベーション」によって価値は創出される
③ポスト資本主義社会における知識の仕事への適用については、テイラーのもたらした教育訓練の方法論を体系化したことが大きい
特に③について、ドラッカーによるテイラーの評価は高く、『「ダーウィン、マルクス、フロイト」と言えば、「近代社会をつくった人間」としてよく引き合いに出される三人組である。しかし世界に公正さというものがあるならば、マルクスの代わりにテイラーが入れられるべきである』と語っている。
その他、本書では、ポスト資本主義社会について、社会・政治・知識の3部に分けて詳細な研究と内容を体系化している。
興味のある方は是非読んでみて欲しい。
特に現在の資本主義について学びたい方、未来の資本主義はどうなるのかを考えたい方には必読の文献である。