【書評】『数値化の鬼』安藤広大(著)・ダイヤモンド社
【プレイヤーとしての成長を最大化・最短化する】
本書の目的は、「プレイヤーでもリーダーでも、優秀な人なら必ず備えている抽象的な考え方」を身につけることができる、「数値化の思考法」の書籍となっている。
あくまで思考法に関する内容であることから、むずかしい計算などの話はないので安心して欲しい。
本書はベストセラーにもなった本でもあることから、読んだこともある方も多いと思う。
そこで今回は、「数値化思考法のメリット」と本書で最も重要な部分だと思われる「行動量」についてまとめておこう。
【数値化思考法のメリットと「仕事ができる人」になる5つのステップ】
まず数値化思考のメリットであるが、本書ではこう語られている。
『数値化できるようになると、失敗を認めることができます。「失敗しなくなる」のではありません。「失敗を認められる」のです。』
失敗しない人はいない。失敗は失敗として正しく認識できてこそ、改善することができる。そのために「数値化思考」が大切である。
次に「仕事ができる人」になる5つのステップであるが、以下の通りである。
ステップ1「行動量」を増やす→自分の行動の数を正確に数えること
ステップ2「確率」のワナに気をつける→割り算による安心感のワナに気をつけること
ステップ3「変数」を見つける→仕事の中で何に集中するかを考えること
ステップ4「真の変数」に絞る→ムダな変数を削り、さらに変数に絞り込むこと
ステップ5「長い期間」から逆算する→短期的と長期的、2つの軸で物事を見ること
以上の5つのステップを本書で解説されている。
ビジネス書ではよく「5つの法則」や「○○をするのに重要な5つのこと」など様々な表現があるが、この「ステップ」については注意が必要だ。
5つの法則などの表現であれば、5つ中で好きなことを実践すればよいのだが、ステップというのはイメージとして階段であり、1段1段あがらないとそのステップは意味をなさないというのが原則となる。
このような違いがあることから、ステップで最も重要なのはステップ1であり、まず一段目をマスターしないと次のステップの効果が薄れたり、または意味をなさない場合があるので注意が必要である。
ちなみに本書のステップはステップ1をきちんと実践しないと他のステップは意味をなさないパターンだと私は解釈していることから、本ブログではステップ1の「行動量」にフォーカスして重要部分をまとめておこう。
【行動量を増やす】
・「PDCAサイクル」の「D」の回数を「行動量」とする
行動量は、その名のとおり、「何回やったのか」「1日に何時間できたのか」という「量」表す数字です。
・「数をこなす」こそ基本中の基本である
仕事ではスポーツのように「練習」がありません。なので、より普段の行動量が大事になってくる。
・行動の数値化は自分でコントロールできることがポイント
行動を正しく数値化することができると、誰が見てもズレがなく明らかであることから、日々の行動に迷いがないレベルにまで分解することができる。
・行動量の目標は5つ以内の数値化された目標にすること
目標を記憶できることが重要であることから目標を絞ること。目標が頭に入っていて、一瞬で思い出せる。だから、すぐに「D」に移ることがき、行動量を増やすことができる。
【実践には高い自己管理と自己規律が求められる】
本書は数値化の思考法を身につけ、自分自身の目標を達成させる実力をつけることを目的とした本となっている。
本書の内容を実践できれば確実に実力をあげることができると実感できるだろう。
逆にいえば、それだけの自己管理・自己規律を本書では求めていることも忘れてはならない。
もし、本書の内容をお読みになられて、しっかりと自分のものにしたいと考えているのならば別個に『鬼速PDCA手帳』という手帳が販売されている。
本書の著者とは別の方が販売している手帳になるが、PDCAを中長期から日々の行動まで落とし込み、それを自分で管理できるという意味では素晴らしい内容となっている。
私自身もこの手帳を使っており、様々な方法を試したりもしたがこの手帳が一番ベストであることは間違いないと思っている。
もし、興味がある方は、本書に加えてご購入していただき活用をしていただければと思う。
本書の思考法を身につけられることを考えれば破格の値段といえるだろう。
【さらに理解を深めるために】
『リーダーの仮面』安藤広大(著)・ダイヤモンド社
『鬼速PDCA手帳』富田和成(著)・クロスメディア・パブリッシング