【書評】『やらない決意』井口晃著・サンマーク出版
【本書の読みどころ】
本書はやらないことを決めて大事なことに一点集中する重要性を著者の経験を基にまとめたものである
内容としては第一章が最も重要であり、第一章を自分自身に肚落ちさせることができれば、元は取れたと言えるだろう
著者はこう語っている
『私たちを動かす燃料は、体力ではなく「意志エネルギー」です。意志エネルギーでさえ満タンならば、身体が疲れていようがなんだろうが、人はやるべきことを必ずやり遂げることができます』
そして著者はこの「意志エネルギー」は有限であり、「意志エネルギー」を無駄なことに使わず、自分にとって大事なことに全てを使うべきだという主張である
そして、この「意志エネルギー」の浪費は無意識にも行われており、その具体的事例と具体的にどう具体的に変えればよいのかを第2章以降でまとめてあるという構成だ
やらないことをやらないことの重要性は皆さんご承知の通りだ
P・F・ドラッカーもやるべきこととやらないべきことの区別の難しさをこう表現している
「実は、本当に行うべきことは優先順位の決定ではない。優先順位の決定は比較的容易である。集中できる者があまりに少ないのは、劣後順位の決定、すなわち取り組むべきでない仕事の決定とその決定の遵守が至難だからである」
至難であるがゆえに、何度も繰り返し学ぶ必要がある
この本はその手助けをしてくれる一冊である
【さらに理解を深めるために】
『80対20の法則』リチャード・コッチ(著)TBSブリタニカ
『経営者の条件』P・F・ドラッカー(著)ダイヤモンド社
やらないことリスト
本書はやらないことの重要性とその決意を促す本となっており、普段の生活から無駄な「意志エネルギー」を使わないようにするヒントを多く掲載していただいている
やるべき大事なことに集中し、無駄なことにエネルギーを使わないことは誰でもわかっている
しかし、それを実際に行動に移すのは至難の業である
それを行動にまで細分化した上でまとめられているのが本書の特徴といえるだろう
よって、本書に関してはやるかどうかの問題と言えるので、最後に私が今後やらないことを決めたリストを簡単にまとめて書評に替えさせていただく
・毎日どこで何を食べるか1週間単位で全て決める
毎日どこで何を食べようかと悩むのは、時間と意志エネルギーの無駄遣い
・財布には常に十分な現金を用意しておく
財布にギリギリしかお金がないと、食事や買い物のたびに「足りるだろうか?」と考え、判断しなければならないから余計な意志エネルギーを使ってしまいます
・苦手なことを克服しようとしない。自分の強みにひたすら集中する
苦手なことをやろうとすると、大量の意志エネルギーを浪費します。しかも、いくら頑張ったところで最初から得意な人には遠く及ばず、よくて人並レベルの成果しか上げられません
・ビジネス手帳を使わない
かさばるモノを持ち歩くということ自体で苦痛であり、なくしたり、自宅に忘れてきたりすれば、その時点でビジネスが滞ってしまう
その他にもさまざまなヒントが満載なので参考にしてみるとよいだろう